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日次資金繰り表を使う

「創業融資のあと」で説明したとおり、
資金繰り表を使うことによって、
会社のお金がゼロにならないか、
月ごとにチェックすることができます。

月ごとにチェックする形のものは
「月次(げつじ)資金繰り表」といいます。

→月次資金繰り表を使う

月ごとではなく、
1日ごとにチェックする形の資金繰り表もあります。
「日次(にちじ)資金繰り表」といいます。

日次資金繰り表は、
仕入出金から売上入金のサイクルが1週間程度の会社で、
日々お金を無駄なく効率的に回したいという場合や、
経営が苦しく、日々の入出金額が会社の生死を分ける、
といった場合に使われます。

下図のような形をしています。

表の見方は月次資金繰り表と同じです。
一番上が前日の現預金残高、一番下が本日の現預金残高となり、
1日の入出金が理由ごとに表示されています。

使い方も月次資金繰り表と同じです。
予定を入力し、実績を反映していくという流れです。

それでは、日次資金繰り表の使い方を、具体的に説明していきます。

日次資金繰り表の使い方

まず、
上側のエクセルデータ
「日次資金繰り表(例)」をダウンロードします。
下側は使い方を理解した後、実際に使う時にダウンロードしてください。

エクセルデータを開いたら、
一番左の「3月31日入力」シートをごらんください。
説明に沿って、順番に右のシートに移っていきます。

日次資金繰り表は、入出金を毎日細かくチェックするものですので、
会社名義の口座1つ1つについて作成します。
シートの一番上は全口座合計です。
各口座の日次資金繰り表がその下に続きます。

→手元現金は?

説明用の会社の設定は次のとおりです。

■3月1日に資本金500万円で会社設立、31日まで開業準備

■4月1日から営業開始

■4月1日スタート時の手元資金は総額800万円
300万円は「○○信用金庫」の融資から得たお金で、○○信用金庫の口座に入っています。
500万円は資本金で、「△△信用金庫」の口座に入れています。

■口座は目的ごとに使い分けています
○○信用金庫の口座は経費支払い用、
△△信用金庫の口座は売上仕入用にしています。

実際は、開業準備でいろいろとお金を使いますけれども、
説明を分かりやすくするため、4月1日までお金は動いていないとします。

3月31日の流れ

営業開始の1日前です。
4月1日から会社のお金が動き出します。
日次資金繰り表に入出金予定を入力していきます。
3月31日時点で分かっている予定をすべて反映させます。

①まず、毎月決まった日に行われる支払いを入力します。
この例の会社では、
10日に給与を300万円、30日に家賃を20万円支払い、
同じく30日に融資借金8万円を返済します。

経費支払用○○信金日次資金繰り表の中の
それぞれの項目に入力します。
「3月31日入力」シートの黄色い箇所です。

②他の経費等の支払い予定も入力します。
明日4月1日に消耗品を25万円購入する予定です。
同じく4月8日と13日にも10万円ずつ消耗品を購入する予定です。
また、開業初日の営業後に開店祝いをします。
交際費として5万円使う予定です。

経費支払用○○信金日次資金繰り表、
「消耗品費」と「交際費」に入力します。
「3月31日入力」シートのオレンジの箇所です。

③開業前の営業努力の結果、この会社ではすでに売上見込みが立っています。
4月5日180万円(A社)、
4月7日500万円(B社)の入金がある予定です。
そのための仕入として
4月3日150万円(い社)、
4月4日280万円(ろ社)の代金を支払います。

売上仕入用△△信金口座の日次資金繰り表、
売上と仕入にそれぞれ入力します。
「3月31日入力」シートの緑色の箇所です。

④ここまで入力して、各信金口座の日次資金繰り表を見てみると、
○○信金口座の4月10日残高がマイナス▲になっています。

このままだと従業員に給与を支払えません。
そこで、△△信金口座から○○信金口座にお金を移動させます。
4月9日に200万円振り替えることにします。

「3月31日振替」シートの黄色い箇所です。
△△信金口座日次資金繰り表「その他出金」に200万円、
○○信金口座日次資金繰り表「その他入金」に200万円入力します。
これで○○信金口座のマイナスが解消されました。


4月の資金繰りは問題なさそうです。
翌日、4月1日開業日をむかえます。

4月1日の流れ

①本日から本格営業開始です。
営業担当がさっそく、C社との契約をとってきました。
4月24日に600万円売上入金される見込みです。
合わせて、仕入先ろ社にも追加発注しました。
4月22日に400万円の仕入代金を支払います。

「4月1日入力」シートの黄色い箇所です。
売上仕入用△△信金口座の日次資金繰り表、
売上と仕入にそれぞれ入力します。

②開業初日は無事に終了しました。
4月1日に予定通りの入出金がされていれば、
○○信金残高=270万円、
△△信金残高=500万円となっているはずです。

「4月1日入力」シートのオレンジの箇所です。

③4月1日終了後に口座残高を調べてみると、
△△信金残高は予定通り500万円でした。
しかし、
○○信金通帳の実際残高をみると270万円ではなく、275万円でした。

値引交渉により、25万円の消耗品が23万円で買え、
また、なじみの飲食店が開店祝いということで、
代金5万円を2万円にサービスしてくれたからです。

実際金額を○○信金日次資金繰り表に反映させる必要があります。
「4月1日実績反映」シートをごらんください。

ここで注意なのですけれども、
4月1日の○○信金日次資金繰り表の
「消耗品費」を25万円から23万円に
「交際費」を5万円から2万円に
修正する必要はありません。
青い箇所は修正しません。


翌日4月2日の
「前日繰越(=4月1日営業終了時点の残高)」に
実際金額275万円を入力します。
赤い箇所を修正して終わりです。

これにより、4月2日以降の数字は、
4月1日の実際金額を反映したものとなります。

資金繰り表は、
現時点から将来のお金の動きをチェックするものです。
現時点より前の、過去の情報は一切不要です。
過ぎた項目をいちいち修正する必要はありません。
現時点の最新残高情報=275万円だけあれば十分です。

→予定と実績を比較するのも無意味

どうしても修正したいという方は、
一度やってみると分かりますけれども、
相当な手間です。

消耗品費や通信費、水道光熱費など
細かい経費は予測に限界があります。
毎日、毎日、請求書やレシートを見ながら
実際金額に修正するのは結構な時間がかかりますし、
経理との2度手間になります。

日次資金繰り表の実績修正は、
毎日の最終残高を修正するだけで良いです。

4月2日以降の流れ

上記の流れの繰り返しとなります。
「4月2日入力」シートをごらんください。
4月1日と同じく、将来の入出金予測が決まり次第、
これに入力していきます。

そして、
4月2日業務終了後は、4月2日の実際残高を4月3日の「前日繰越」に反映させます。
4月3日業務終了後は、4月3日の実際残高を4月4日の「前日繰越」に反映させます。
以上が、日次資金繰り表の使い方です。

日次資金繰り表を使うためのポイント3つ

使い方の流れは上記の通りですけれども、
使うにあたってのポイントを3つ説明しておきます。

1.項目にこだわらない】

日々、会社のお金がゼロにならないかチェックしますので、
チェックが1日でも遅れると意味がありません。
スピードが大事です。できるだけ手間をはぶきます。

入力の手間をはぶくコツとして、
「項目にこだわらない」というポイントがあります。

日次資金繰り表は月次資金繰り表と同じく、
基本的に会社内部で使うものであって
会社外部の人に見せるものではありません。
決算書のように会計ルールに従う必要はありません。
項目の設定は自由です。

他えば、当事務所が提供する「日次資金繰り表」では
「経費等」の中に「借金返済」という項目を含めています。
借金返済は本来、経費ではないので
厳しい会計の専門家から見ると、
「ゆるせない」、「おかしい」というお叱りを受けるかもしれません。

しかし、これで問題ありません。
日次資金繰り表はお金がゼロにならないかチェックするものです。
チェックさえできれば分類や項目はどうでもいいからです。

項目名よりも入出金予測、特に、
出金予測のもれがないようにすることの方が重要です。

仕入以外は全部「経費等」に入力し、
良く分からないのは全部「その他」にしてしまう、
項目名は自分好みで決定する、
としておけば手間が少なくなると思います。

当事務所のお客様の中には、
複数の細かい経費項目をざっくり
「小口」という項目にまとめていらっしゃる方もいます。

→もっと簡単にしてもOK

仕入か?経費か?項目名は?
ウンウン悩んで資金繰り管理が面倒になり、
会社が倒産しては本末転倒です。

融資の関係で、金融機関から
「日次資金繰り表を提出してほしい」と要求されることがあります。
その際は、税理士に相談して、
会計ルールに合った形に修正してもらえば良いです。

【2.月の区切りや決算の区切りは関係ない】

上記の例では、4月を1つの区切りとして説明しました。
しかし、5月以降も資金繰りは続きます。
4月末日になってから
5月の日次資金繰り表を作り始めるのでは遅い
です。

日次資金繰り表は、
現時点から数ヶ月先を見込んで、日々作成するものです。
会社の売上サイクルにもよりますけれども、
常に、1ヶ月以上先まで見込むことが多いです。
決算月の区切りも関係ありません。

【3.入力は簡単に】

「日次資金繰り表(例)」では、

説明用に分かりやすくするため、円単位の数字を使いました。
実際に使うにあたっては、千円単位や万円単位でも良いです。

円単位まで予測するのは難しいですし、
千円単位や万円単位にすれば、
入力の手間がはぶけるからです。
もちろん、円単位の方が分かりやすいのであれば、それでもかまいません。

また、上記「使い方」で説明したとおり、
日次資金繰り表では、
現時点より前の、過去の情報は一切不要です。

4月2日営業開始時点では、4月1日の情報は一切使いません。
そこで、4月1日の列(E列)を非表示にします。
下図のとおりです。見やすくなります。

余計な情報が目に入ると、判断が遅れます。
ぱっと見てすぐ分かるようにしておいた方が良いです。
日次資金繰り表は日々、入力するものですし、
ささいな点も、積み重なると、大きな負担になります。

→列を非表示にする方法はエクセル操作一覧参照


以上、日次資金繰り表の使い方とポイントを説明しました。

それでは、このページの上の方にある
下側のエクセルデータ
「日次資金繰り表(未入力)」をダウンロードしてお使いください。

項目を追加したり、加工したり、使い方は自由です。
「日次資金繰り表(例)」は
説明用にシートを5つに分けましたけれども、
実際使うのはシート1つです。

当事務所のお客様も実際に使っていらっしゃるものです。
絵に描いたモチではありません。
お気軽にさわってみてください。

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西田恭隆(nishida  yasutaka)
     ◆公認会計士
         ◆中小企業診断士
             ◆税理士事務所

所長の著書

  「税理士ができる
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