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創業計画書の「数字の部分」を作る CVP分析

創業計画書の「数字の部分」を作る
「減価償却費とお金の関係について」の続きです。
借金返済に必要なお金100万円を稼ぐには、
利益が最低40万円必要であると分かりました。

利益40万円を得るには、いくらの売上が必要で、原価はどれくらいになるのか、
CVP分析という方法を使うことで明らかになります。

CVP分析

CVP分析のCVPとは、
費用(Cost)、販売数量(Volume)、利益(Profit)の頭文字をとったものです。

CVP分析によって
利益から売上の金額を、
逆に、売上から利益の金額を
すばやく計算できるようになります。
先の車を使った商品販売の例を使って、
分析の手順を説明していきます。

仕入単価は1つ150円、販売価格は1つ250円、上記は5個売った場合です。

まず、費用を変動費と固定費の2種類に分けます。

▼①変動費
売上が動くと、一緒に動く費用です。
例えば、商品の仕入、商品配達に使う運送費、製品の材料費、外注費です。

上の例だと、商品原価750円が変動費となります。

▼②固定費
売上が増えても、変わらない費用です。
1年間まったく動かないという意味ではありません。
動くこともありますが、売上の動きとは関係ない動きをする費用です。

例えば、家賃、人件費、水道光熱費などがあります。
商品の原価以外は大体固定費です。
変動費か固定費か迷った場合も固定費にします。

→迷った場合について詳しく

上の例だと、
減価償却費400円は、売上が動いても変わらない費用=固定費です。
説明を単純にするため、固定費は減価償却費のみとしています。



売上-費用=利益
↓費用が変動費と固定費に分かれましたので、
売上-変動費-固定費=利益となりました。

変動費率を計算します。

変動費は売上と一緒に動くので、売上×比率で表すことができます。
変動費と売上の比率を変動費率といい、変動費÷売上で計算します。

上の例ですと、
売上は1,250円、変動費である原価は750円なので、
変動費率は、原価750円÷売上1,250=60%となります。

商品原価率と同じような考え方ですので、
商品1つあたりの単価を使っても計算できます。
変動費単価(仕入単価)150円÷販売単価250円=60%

売上に変動費率をかけると、変動費が出ます。
たしかに売上1,250×変動費率60%=変動費750円となっています。

売上と利益の関係を式にします。

売上-費用=利益
↓費用が変動費と固定費に分かれましたので、
売上-変動費-固定費=利益
↓変動費は売上×変動費率ですので、
売上-売上×変動費率-固定費=利益
となりました。

上の例では、変動費率が60%、固定費が400円なので、
売上売上×60%-400円=利益
これで、売上がいくらになったら利益はいくら、
この利益を得るには、売上がいくら必要なのか、
という判断ができます。

例えば、
●売上が2倍(5個→10個)の2,500円になったら、
2,500円-2,500円×60%-400円=利益600円
になるはずです。

実際に確かめてみると、
売上(F)250円×10個=2,500円
原価(G)150円×10個=1,500円
減価償却費(H)400円
利益(F-G-H)2,500円-1,500円-400円=600円
たしかに同じ結果です。

●利益を2倍の200円にしたいなら、
売上-売上×60%-400円=200円

売上×100%-売上×60%=200円+400円

売上×(100%-60%)=600円

売上×40%=600円

よって売上=1,500円になれば実現します。
販売価格は250円、1,500円÷250円=6個なので、
商品を6個売れば利益は2倍になるはずです。

実際に確かめてみると、
売上(I)250円×6個=1,500円
原価(J)150円×6個=900円
減価償却費(K)400円
利益(I-J-K)1,500円-900円-400円=200円
たしかに同じ結果です。

限界利益という言葉を使ってCVP

CVP分析の内容説明は以上ですべですが、
「限界利益」という言葉が、CVP分析によく使われます。

限界利益を使ってあらためて説明していきますが、
ほとんど言葉の使い方だけの話であって、
分析の内容や方法は先に説明した方法と変わりません。

「限界利益」の言葉だけ見るとややこしいですが、
考え方はとても分かりやすく、便利ですので、
ぜひ使いこなせるようになってください。

費用を変動費と固定費に分けると、
売上-変動費-固定費=利益
と表せました。
ここで、「売上-変動費」の部分を限界利益と呼びます。
限界利益-固定費=利益
です。話はこれでほとんど終わりです。

この「限界」という言葉ですが、
「おたくのような会社は、せいぜいこの利益が限界でしょう」
という意味の限界ではなく、「追加的」という意味です。
「追加的」という言葉も分かりづらいので、さらに言い換えると、
「商品を売ったら増える」という意味です。

商品を売ると、売上と一緒に変動費も増えます。
商品を売ったら増える利益=売上-変動費=限界利益です。

限界利益の便利な点を、例を使って説明していきます。
仮に、前年に5個販売して利益が100円、
今年に6個販売、固定費が減って利益が250円だったとします。
会社全体の利益は今年になって150円増加しています。

会社全体の利益が150円増加したのは、
商品を売ったら増える利益=限界利益が100円増加し、
それ以外、固定費が減少したことによる利益の増加が50円あったからです。

このように、
会社全体の利益の動きを、
「商品販売によるもの」と「それ以外によるもの」の
2つに分けて、ざっくり単純に考えることができる

ので、限界利益は便利です。

また、変動費には商品原価だけでなく、運送費なども含まれます。
商品を販売するのにかかる費用をすべて含めて考えている、という意味で
商品販売による利益を正確にとらえることができる
のも限界利益の良いところです。

限界利益を使った比率として、「限界利益率」があります。
考え方は変動費率と同じです。
変動費率は変動費と売上との比率で、変動費÷売上でしたが、
限界利益率は限界利益と売上との比率で、限界利益÷売上です。
売上に限界利益率をかけると、限界利益が出ます。

上の例で
5個販売した時の限界利益は500円なので、
限界利益率は500円÷売上1,250円=40%となります。
6個販売の売上1,500円に40%をかけると600円。
たしかに売上×限界利益率=限界利益になっています。

売上-変動費-固定費=利益
↓限界利益を使うと
限界利益-固定費=利益
↓限界利益率を使うと
売上×限界利益率-固定費=利益
となります。
これが限界利益を使ったCVP分析での、売上と利益の関係式になります。

6個販売の時にあてはめると、
売上1,500円×限界利益40%-固定費350円=利益250円
たしかにそうなっています。

また、限界利益率と変動費率を合計すると100%になります。
限界利益率=限界利益÷売上=(売上-変動費)÷売上=1-変動費率
↓式を整理して
限界利益率+変動費率=1(100%)
どちらかの比率を求めれば、もう1つの比率が分かります。

上の例だと、
変動費率は60%、限界利益率は40%、確かに合計100%になっています。

以上、
変動費も限界利益も言葉の使い方が少し違うだけで、中身は同じです。
限界利益、限界利益率という言葉の方が便利で、よく使われますので
ホームページでは、これ以降、
変動費ではなく、限界利益という言葉を多く使っていきます。

借金を返済するために必要な売上と原価

CVP分析によって、利益から売上と原価を出すことができるようになりました。
毎年100万円返済していくため、利益が40万円必要。
この会社の限界利益率が仮に20%だとしたら、
必要な売上と、その時の原価はいくらになるでしょうか。

売上と利益の関係式は、
売上×限界利益率-固定費=利益
ですので、
商品販売売上×限界利益率20%-減価償却費60万円=利益40万円
↓式を整理して
商品販売売上×20%=100万円
↓よって
商品販売売上=500万円

変動費の原価は、売上×変動費率で出せます。
商品販売売上500万円×80%=変動費400万円
まとめると、次の表のとおりです。

借金返済に必要なお金100万円を稼ぐには、
最低限、売上が500万円以上、利益が40万円以上
必要であることが分かりました。

「売上は500万円以上、利益は40万円以上稼げます。
減価償却費は60万円ですので、毎年100万円の借金を返済できます。
だから5年返済で500万円のお金を貸してください。」

と根拠をもった数字で、金融機関にお願いすることができます。
また、500万円以上売上を出せば借金は返せる!
という目標売上にも使えます。

減価償却費とお金の関係、CVP分析を理解したら、
本来の目的である、
創業計画書の「数字の部分」と資金繰り表の作成にすすみます。

以下はCVP分析の応用です。
「応用その1 利益にかかる税金」は読み飛ばしていただいて構いませんが、
「応用その2 損益分岐点売上」は今後の経営に使えますので、
ぜひ読んでいただければと思います。

CVP分析の応用その1 利益にかかる税金

これまで、
売上-変動費-固定費=利益、
売上×限界利益率-固定費=利益、
という式を元に説明してきましが、実際には、
利益に法人税、住民税などの税金がかかります。
だいたい利益の40%が税金となります。

税金を引く前の利益を税引前利益、
税金を引いた後の利益を税引後利益と呼びます。

最終的に会社に残るのは税引後利益です。
CVP分析を使って、売上と税引後利益の関係を表します。
税金を考慮することで、より現実に近いCVP分析となります。

(L)売上×限界利益率-固定費=税引前利益
(M)税引前利益-税金=税引後利益
(N)税金=税引前利益×税率40%

税金の式(N)を(M)の式に入れると、
税引前利益-税引前利益×40%=税引後利益
↓整理して
(O)税引前利益×(1-税率40%)=税引後利益
(O)の式に(L)を入れると、
(売上×限界利益率-固定費)×(1-税率40%)=税引後利益
となります。
これが税金も含めて考えた売上と利益の関係式となります。

商品を5個販売した例で、利益に40%の税金がかかるとすると、
税引前利益は100円、税金は40円、税引後利益は60円になります。
売上と税引後利益の関係式を使うと、
(売上1,250円×限界利益率40%-固定費400円)×(1-税率40%)
=100円×60%=税引後利益60円
確かにそうなっています。

CVP分析の応用その2 損益分岐点売上

CVP分析を使えば利益から売上を求めることができるので、
利益がゼロ、トントンになる売上を出すこともできます。
利益がゼロなら税金はかかりませんので、
税金の関係式を考える必要はありません。

CVP分析、売上と利益の関係式の中の利益をゼロにします。
売上×限界利益率-固定費=0
↓整理して
売上=固定費÷限界利益率
これが利益がトントンになる売上です。

トントンになる売上を、益になるか損になるかの分岐点、
というそのままの意味で、損益分岐点売上といいます。

商品販売の例を使うと、
損益分岐点売上=固定費400円÷限界利益率40%=1,000円です。
1,000円÷販売価格250円=4個売ればトントンになるはずです。
実際に確かめてみると、
売上1,000円-原価600円(150円×4個)-固定費400円=利益0
確かにトントンです。
1,000円を上回る売上を出せば利益が出る!
という目標売上として損益分岐点売上は使えます。

変動費が無いサービス業などの会社の場合は、
損益分岐点売上=固定費となります。
売上-変動費0-固定費=利益0
↓整理して
損益分岐点売上=固定費です。

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