資金繰り表を使う目的は、
会社のお金がゼロにならないかチェックするためです。
会社の生死をチェックするといっても過言ではありません。
下の、創業融資で作った資金繰り表を元に使い方を説明していきます。
毎月のお金の予定=計画が表示されています。
4月に設立、5月に創業融資を受け、6月に無事開業しました。
毎月の実績を資金繰り表に反映していきます。
4月~7月の費用支出の実績は計画通りでしたけれども、
6月、7月の売上収入の実績は、計画の70%しかありませんでした。
7月以降の毎月末の預金残高は計画上200万円以上だったのが、
200万円を切っています。
7月以降の預金残高がひと月の営業支出=約200万円に足りません。
少し心もとない状態です。
「もし、このまま計画の70%の売上が続いたら、お金はどうなるんだろうか」
不安な気持ちが高まります。
ここで資金繰り表が力を発揮します。
8月以降も計画の70%の実績だったとして、シミュレーションしてみます。
表の青い部分の金額を変えています。
10月末には会社のお金がマイナスとなり、
事業を続けることができなくなることが分かります。
お金がなくなることを「資金がショートする」といいます。
このままじっと資金ショートを待つわけにはいきません。
避けるための対策を考えます。
【対策1】
シミュレーションを繰り返した結果、
8月以降、実績が計画の90%以上になれば資金ショートしないことが分かりました。
これまで以上に売上獲得の努力をします。
【対策2】
売上目標は達成できるかどうか分からないので、
確実に行える費用の削減をします。無駄な費用がないか洗い出します。
【対策3】
「10月までに借り入れをお願いするかもしれません、借りれそうですか?」
と、早めに金融機関に相談に行ってみます。
受けられる融資制度があるかもしれません。
よくありがちな、あまり効果的ではない使い方が2つあります。
資金繰り表は予定なので、よく
「資金繰り表と実績を比較し、予定に届かなかった理由を考えましょう」
という方がいらっしゃいます。
もっともらしく聞こえるのですが、
実際は、比較したところで有益な情報が得られるわけでもなく、
基本的に無意味です。
実績と比較しながら、その理由を説明していきます。
▼無意味な理由【経営判断に使えない】
「そもそも創業計画書とは?資金繰り表とは?」のところで説明したとおり、
売上と売上代金が回収されるタイミング、
仕入と仕入代金を支払うタイミングはズレます。
例えば、
掛け売上代金が、2ヶ月後に入金される約束だとします。
この場合、上の表の7月の掛け回収実績449,400円は
5月にお客様に販売した分となります。
7月の計画は642,000円だったので、
差異192,600円だけ届いていません。
「さあ、5月の売上が少なかった理由を考えましょう」
となるのですが、2ヶ月以上前の5月のことなんて
ほとんど忘れています。
経営判断に使う資料として、資金繰り表は遅すぎます。
また、翌月入金の売上代金や翌月支払の仕入代金なども混じっていたら、
7月の入出金は何月分の売上と仕入の結果なのか、わけが分かりません。
差異の原因を突き止めることができないので、経営判断に活かせません。
▼無意味な理由【資金ショートの対策がとれない】
この比較を続けていっても、いつ資金ショートになるか判断できません。
シミュレーションができないからです。
したがって資金ショートを防ぐための対策もとれません。
せいぜい通帳残高を見て、頭を悩ませるだけです。
7月末預金残高185万円を見て→「まだまだ大丈夫」
8月末預金残高110万円を見て→「来月死ぬ気で頑張ればなんとかなる」
9月末預金残高28万円を見て→「もしかしてヤバい?…どうしよう…」
気づいたら資金ショート寸前で手遅れ、という可能性が高いです。
資金繰り表は資金ショートを防ぐために使うのが効果的です。
実績と計画との比較、差異の分析は事業計画書(創業計画書)の役割です。
事業計画書は、入出金ではなく商品販売のタイミングで金額を把握します。
早めに経営判断が行えますし、
毎月その月の売上と仕入(原価)だけが表示されます。
差異の原因も把握しやすいので、経営判断の資料として適切です。
それぞれの目的に合わせて使い分けることが大切です。
資金繰り表は数ヶ月先までのお金の動きを予測して
資金ショートしないか、日々チェックするものですので、
会社の決算に関係なく行う必要があります。
「3月決算だから3月までの資金繰りを考えておけばよい」
「4月以降の資金繰り表は、新しい事業計画書ができあがってから」
というのでは遅いです。
ざっくりでも良いので、
常に3ヶ月以上先までの売上や仕入経費を見込み、
資金繰り表に反映させていく必要があります。
正式な事業計画書ができあがったら、その際に調整、修正すれば良いです。
以上が資金繰り表の使い方と、使うに当たっての注意点となります。
上記「資金繰りシミュレーションをして、対策を考える」の
「対策3」のようにシミュレーションの結果、
融資が必要になる状況もありえます。
創業融資を受けた後に追加融資を受けられるのか、次に説明します。
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