創業融資を受けて事業を始めたものの、
思ったほど売上が伸びないし、費用も意外とかかる。
お金はどんどん減る一方…。
「預金残高がゼロになる前に、追加で受けられる融資はないだろうか」
という考えに向かうのは自然だと思います。
設立して間もない会社が、
融資を追加で受けることができるのか、
できるとすればどんなものがあるのか。
結論からいうと、
設立して間もない会社の追加融資は厳しいです。
しかし、
設立開業して1年たてば、保証協会の制度融資
を受けられる可能性はあります。
では、追加融資の可能性について検討していきます。
▼創業融資の追加融資
公庫及び信用保証協会から、
創業融資の追加融資、追加保証を受けることはできません。
公庫から創業融資を受けた後、
信用保証協会から改めて創業融資保証を受けることはできませんし、
逆の場合も同じです。
すでに他から創業融資を受けている、ということは分かってしまうようです。
実績のない会社が無担保で借り入れできるのは1度だけです。
▼公庫からの創業融資以外の追加融資
公庫担当者によると、
「追加融資を申し込むタイミングは、通常、借金残高が半分になってから。
それでも、どうしても追加融資を受けたい場合は、
創業計画や事業計画どおりに事業がすすんでいる、
またはそれを上回る業績があがっているなど、前向きな材料が必要。」
とのことです。
業績が良くて前向きなら追加融資の必要もないわけで…
公庫から融資を受けるのは難しいです。
▼民間金融機関からの融資
創業間もない会社であっても、
担保を入れれば融資を受けることができます。
株や貴金属、土地建物などお金に換えられるモノなら何でも担保になります。
無担保、無保証では借りられません。
▼ビジネスローン
ビジネスローンとは、
中小零細企業、個人事業主に特化した無担保融資のことです。
大きく分けて
「銀行系のビジネスローン」、
「ノンバンク系(消費者金融)のビジネスローン」
があります。
「銀行系のビジネスローン」は
必要書類が多くて審査が長めですが、金利はノンバンク系よりも低いです。
「ノンバンク系のビジネスローン」は
必要書類が少なくて審査も短く即日融資もありますが、金利は高いです。
とくに、ノンバンク系は金利が高いので、
条件を納得した上で申し込むようにします。
▼保証協会の制度融資
設立開業して1年が経ち、自治体に税金を納めれば、
信用保証協会の保証付き融資制度という選択肢が出てきます。
東京都の場合、たとえば
小口資金融資(保証限度1,250万円)などが使えるようになります。
※自治体によって条件は異なります。
保証さえ得られれば、金融機関から追加融資を得ることができます。
信用金庫等から追加融資を断られても、
信用保証協会に直接訪問することで
追加融資につながったケースもあります。
詳しくは次のリンク先をごらんください。
以上より、
設立して間もない会社が民間金融機関から追加融資を受けるには、
担保が必要であったり、高い金利など、
厳しい条件を覚悟しなければなりません。
設立開業して1年後、
保証協会の制度融資から追加融資を受けるのが現実的ですが、
これもあくまで可能性にすぎません。
創業するにあたっては、
2年~3年は追加融資を受けられない、
という前提で自己資金を準備し、創業融資の申し込みを行いましょう。
追加融資を受けるのは、なかなか難しい、
というのがお分かりいただけたかと思います。
難しいのは難しいですが、
だからといって、何もしなければ、ますます可能性は遠のきます。
追加融資のために準備することはできます。
例えば、
お金に余裕があるうちに、金融機関に定期積金口座を作っておきます。
集金に来る担当者と顔を合わせ、会社の状況や社長の人柄を知ってもらい、
前もって融資相談がしやすい雰囲気を作っておきます。
お金が苦しくなってから初めて相談に行くよりも、話を聞いてもらえます。
そして会社の実績をきちんと把握し、
資金繰り表を作っておきましょう。
なぜなら、追加融資を申し込む時には、
事業計画書と資金繰り表が必要になるからです。
「過去半年分の資金繰り実績と将来半年分の資金繰り予定表を提出して下さい」
と金融機関から求められることがあります。
求められても作れない、金融機関に説明できない、という状態では
「社長は会社の現状を把握できていない」
「追加融資しても、ずさんな経営で、また同じ結果になるのでは」
と思われ、追加融資のチャンスを逃してしまう可能性があります。
毎月実績をきちんと集計して、
コツコツと経営改善の方法を考えながら、
追加融資の機会を待ちましょう。
また、1度決算をむかえた後は、
会社の実績である決算書の提出も求められます。
融資の際に説明できるように、内容をざっと理解しておくと良いです。
どうしても創業融資を返済できなくなった場合の対応は、
次のリンク先をごらんください。
1年目の決算が終わり、
売上や利益が順調に増えている場合、金融機関の側から
「追加融資はいかがですか」
と提案を受けることがあります。
業績が苦しい会社には追加融資をせず、
業績好調な会社に追加融資の提案とは…逆なのではないか!
と思われるかもしれませんけれども、
金融機関も利益を求める民間団体ですので、仕方ありません。
信用金庫や銀行は、
口座を通して入出金状況が分かります。
返済してくれそうな、余裕のありそうな会社に訪問営業します。
いつもは、社長が頭を下げてお金を借りに行くところなのに
今回は立場が逆になって、ちょっと優越感を感じるところです。
「ウチは返済能力がある会社=安定して利益を出せる会社だと思われている」
「ウチの事業内容は銀行から高く評価され、期待されている」
「資金繰りが一時的に苦しくなることもあるので、借りられる時に借りておこう」
ということで、ついつい、追加融資の提案を受けたくなります。
提案にくる金融機関のほとんどは、実際、
会社の事業内容を評価し、「会社のために追加融資を」と思ってくれています。
しかし、以下のように、
まったく正反対の考えで追加融資の提案を行う場合もあります。
注意が必要です。
【会社が潰れようが知ったことではない】
「創業融資は2種類」のところで説明したとおり、
信用保証協会が連帯保証人になってくれるおかげで
中小企業は金融機関からお金を借りることができます。
創業融資以外の融資制度も保証協会の保証付が一般的です。
保証協会は公的機関ですので、潰れることはありません。
そこで金融機関としては、
「中小企業が潰れても、連帯保証人の信用保証協会からお金を回収できれば良い」
という考えを持つ可能性があります。
通常、貸したお金を回収できなくなった(貸し倒れといいます)場合、
融資判断が甘かったとして、金融機関の業績にマイナスとなります。
しかし、
保証協会が保証する分は貸し倒れになりません。
保証協会からお金を回収できるからです。
会社の返済能力に関係なく、どんどん追加融資を行い、
貸付実績と金利を絞れるだけ絞って、最終的に会社が潰れたとしても
金融機関は痛くもかゆくもありません。
「会社のために提案してくれている、会社は期待されている」
という社長の考えとはまったく正反対の考えで
金融機関は動く場合があります。
本当に追加融資が必要なのか、融資を受けたとして返済可能なのか、
資金繰り表などを使って冷静に検討しましょう。
担当者の言葉に、そのまま乗せられてはいけません。
以上、追加融資について解説を行いました。
創業時の資金調達方法として、
金融機関からの融資以外にも方法があります。
助成金や補助金です。
詳しくは次のリンク先をごらんください。
インターネットを使って資金協力を呼びかける
ベンチャーキャピタルやクラウドファンディングという方法もあります。
こちらも、詳しくは次のリンク先をごらんください。
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