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創業計画書の「文章の部分」を作る SWOT分析

SWOT分析という方法を使って「文章の部分」を作ります。

SWOT分析とは、
会社はどんな強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)を持っていて、
どんな機会(Opportunities)、脅威(Threats)に囲まれているのか、
分析する方法です。

4つの言葉の頭文字をとってSWOT(すおっと)分析といいます。

「強み(S)」は、他の会社には無く、自分の会社だけが持っているもの、
「弱み(W)」は逆に、自分の会社に足りないものです。
これらは会社内部の話になります。

「機会(O)」は、お客様を獲得して売上を伸ばすことができる状況、
「脅威(T)」は、お客様を獲得して売上を伸ばすのが難しい状況のことです。
これらは会社外部の話になります。

SWOT分析は
事実から強み(S)と弱み(W)、機会(O)と脅威(T)を取り出し、
これらを組み合わせて事業の方向性を示します。
強みを活かして機会を得る(S→O)または脅威を乗り切る(S→T)、
弱みを克服して機会を得る(W→O)または脅威を乗り切る(W→T)、
という組み合わせです。

「わたしは絶対に売上があがると思います!」
という思い込みの文章だけでは説得力はありません。
事実から文章を積み上げていくSWOT分析を使うことで、
事業内容や強みとなるセールスポイントを
説得力をもってアピールすることができます。

SWOT項目を出すにあたっては、以下のような紙を用意した方が便利です 。
十字の線を引き、四つ角にSWOTを1つずつ書きます。
手書きで構いません。

どんどん書き込んでいくと、下のようになっていきます。飲食店のケースです。
矢印は先に述べた組み合わせの方向です。

飲食店以外のSWOT分析をご覧になりたい方は、
のリンク先をご覧ください。

→その他のSWOT分析例

「会社外部(機会と脅威)の分析」と
「会社内部(強みと弱み)の分析」という区別をして、
SWOT分析の分析手順を説明していきます。
最初は「会社外部(機会と脅威)の分析」です。

会社外部(機会と脅威)の分析

いろいろな考え方の切り口から、
機会(O)となる事実、脅威(T)となる事実を集め、
紙に書き込んでいきます。

会社外部の切り口をいくつか紹介します。

●政治(Political)、経済(Economic)、
   社会(Sociological)、技術(Tchnological)、
   これら頭文字をとったPESTと呼ばれる切り口。

●商品の売り手・作り手(販売者、供給側)と買い手(消費者、需要側)の切り口。

同業他社の製品(Product)、価格(Price)、
   流通・店舗・立地(Place)、広告などの販売促進(Promotion)、
   これら頭文字をとった4Pと呼ばれる切り口。

同業他社のヒト(人材)、モノ(設備)、情報(技術・ノウハウ・人脈)

→PESTの例を詳しく
→立地の例を詳しく

ではこの切り口を使って、実際に分析していきましょう。

会社外部といっても、
町内から県内、国内、世界まで、広さに限りがありません。
そこでまず分析対象を絞ります。
会社を作って、自分はこれから
どこの、どんなお客様に対して商売をしたいのか、
標的(ターゲット)をはっきりさせます。

【どこの】とは、
お客様がいる範囲のことです。商圏といわれるものです。
例えば、国内、県内、半径2km以内などです。

【どんなお客様に】とは、
年齢、性別、職業など、お客様の特徴や、
価格、品質、安全性、味、スピード、雰囲気、品揃えの多さなど、
お客様の求めるものなどから決定します。

ここでは例として、飲食店の社長が

【どこの】最寄駅周辺の
【どんなお客様に】価格よりも品質と味を重視している高齢者のお客様に

という標的を決めたとします。
標的はあくまで社長の考えに過ぎません。
最寄駅周辺に、本当にそのようなお客様がいるのか、
いるとして狙えるのか、事実で裏付ける必要があります。

上の会社外部の切り口を使って、標的の事実を確かめていきます。

その結果、
売上を伸ばせる、という事実があれば機会(O)
売上を伸ばすのが難しい、という事実があれば脅威(T)

と分類します。

【会社外部の分析イメージ図】

具体的には、次のように分析していきます。青い文字は使った切り口です。

(外部分析の切り口)
最寄駅周辺の飲食店経済の事実を確かめます。景気は良いのか(経済)

(確かめる方法)
最寄駅周辺の飲食店データは無かったので、
外食産業の地域別統計データを代わりに使います。

→当事務所がこれまでに使ったデータ

(確かめた結果=事実)
地域の店舗数、売上高は年々減少傾向にあります。
駅周辺の飲食店でも、お客様の数は減少傾向の可能性が高いです。
売上を伸ばすのが難しい→脅威(T)に書きます。
最近はどの業界も減少傾向ではあります。

(外部分析の切り口)
最寄駅周辺の消費者の事実を確かめます。高齢者はいるのか(消費者)

(確かめる方法)
都道府県のHPで市町村別、年齢別、男女別の人口情報が
エクセルで公開されています。
それを使ってお客様がいる最寄駅周辺の人口を見てみます。
インターネットで「市町村の名前、人口、統計」という
3つのキーワードで検索すれば出てきます。

(確かめた結果=事実)
最寄駅周辺人口は男女共に増加していますし、
特に60歳以上の人口が増えています。
また、高齢化社会は周知の事実です。
売上を伸ばせる→機会(O)に書きます。

(外部分析の切り口)
最寄駅周辺の消費者の事実を確かめます。
標的となる高齢者は価格よりも品質と味を重視しているのか(消費者)

(確かめる方法)
様々なアンケート調査結果がインターネット上にあります(無い場合もあります)。
その内容を見てみます。
最寄駅周辺の消費者情報はなかったので、全国データを代わりに使います。

(確かめた結果=事実)
アンケートの結果、
60歳以上の消費者の20%が価格重視、
80%の人が食の安全性や品質重視でした。
売上を伸ばせる→機会(O)に書きます。

(外部分析の切り口)
駅周辺の同業他社についての事実を確かめます。
競争相手はいないのか(同業他社の立地、商品、価格、販促、ヒト、モノ、情報)

(確かめる方法)
インターネットでお店を検索して、実際に行ってみます。

(確かめた結果=事実)
周辺に2店舗ありました。
高齢者の客が多く、価格帯は安い。
またメニューの種類が豊富で割引販促を行っていました。
ライバル店となりそうです。
売上を伸ばすのが難しい→脅威(T)に書きます。

このように、切り口をヒントに、
標的にかかわる事実を集め、機会と脅威に分類する、を繰り返します。

→詳しく分析する時間がない場合は?

これだけではまだ標的が狙えるかどうか結論は出ません。
もし脅威があっても、会社が持つ強みによって問題でなくなる可能性がありますし、
逆に、機会があっても、それを活かすべき強みが会社にないかもしれません。

会社内部の強み(S)と弱み(W)の分析も行い、
内部と外部のSWOTを組み合わせることによって結論は出ます。

【会社外部と会社内部の分析関係図】
【SWOT組み合わせイメージ図】

内部の点線と外部の点線が組み合わさって
実線=標的は狙えるという結論になるイメージです。

次に、「会社内部(強みと弱み)の分析」に移ります。

社内部(強みと弱み)の分析

引き続き、

【どこの】最寄駅周辺の
【どんなお客様に】価格よりも品質と味を重視している高齢者のお客様に
 

という標的について、
会社内部の切り口を使って事実を分析していきます。

標的を狙うために使える事実、自社にしかないものは強み(S)、
標的を狙うために使える事実がない、自社に足りないものは弱み(W)、


とします。
会社内部の切り口は以下の通りです。

自社の製品(Product)、価格(Price)、
   流通・店舗・立地(Place)、広告などの販売促進(Promotion)、
   これら頭文字をとった4Pと呼ばれる切り口。
   販売促進は2つ考えます。
  「新しいお客様を獲得するための販売促進」と、
   一度商品を買ってもらったお客様に、もう一度買ってもらうための、
  「リピート客を増やすための販売促進」です。

自社のヒト(人材)、モノ(設備)、情報(技術・ノウハウ・人脈)、
   お金が無いから融資の申込みを行う、ということで「カネ」は除いています。

(内部分析の切り口)
最寄駅周辺のお客様を取り込むために使える立地はないか(立地)

(事実)
会社の住所は最寄駅から歩いて3分。他店も駅に近いが、不利ではない。
標的を狙うのに使える→強み(S)に書きます。

(内部分析の切り口)
高品質で美味しいメニューを提供するために使える
ヒト・情報はないか(ヒト・情報)

(事実)
社長には事業経験が5年あるし、
前職では美味しいメニュー開発で評価を受けていた。提供できる。
標的を狙うのに使える→強み(S)に書きます。

(内部分析の切り口)
新規の高齢者のお客様を取り込むために使える
広告宣伝、販売促進方法はあるのか(販売促進)

(事実)
社長は中高年イベントサークルの代表で、
幅広い人脈がある。近隣の他サークルとも交流がある。
標的を狙うのに使える→強み(S)に書きます。

(内部分析の切り口)
新規の高齢者のお客様を取り込むために使える
広告宣伝、販売促進方法はあるのか(販売促進)

(事実)
社長のサークル代表としての人脈による集客しかなく、
他の販売促進方法はない。サークルを退会すると集客力が落ちる。
標的を狙うのに使えない→弱み(W)に書きます。

(切り口)
品質の良い料理を作るのに使える流通経路はあるのか(流通)

(事実)
品質の良い材料を安く仕入れる独自ルートがある。
標的を狙うのに使える→強み(S)に書きます。

商品やサービスの内容は、創業計画書で記載を求められますので、
製品、価格、販売促進などの切り口を使って、
強みを必ずあげておきます。

また、社長の事業経験は融資判断でとても重視されます。
ヒト、情報の切り口を使って、
強みとして必ずあげておきます。

今後、生き残る可能性が高い中小企業は、
中小企業ならではの、他の会社にはマネすることができない商品や、
お客様のニーズを捉えたサービスを提供する会社です。

例えば、
大手にはできない地域密着のサービス、
商品カテゴリーを絞った品揃えなどです。

「当社にしかできません」
という、個性的な、独自性の高い強みをあげてください。

「低価格で商品を提供できる」
という強みをあげる方がいらっしゃいます。
しかし、本当に強みといえるのかどうか、考えてください。
価格を下げるだけなら、他の会社もすぐにマネできますし、
価格競争に巻き込まれる危険性があります。
強みにする場合は、
「低価格は当社にしかできません」
という根拠が必要になりますので、ご注意ください。

「お客様の声」にも当事務所が支援した
お客様企業の強みを紹介しておりますので、
参考にしていただければと思います。

→お客様の声はこちら

SWOT組み合わせ

紙の強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)が埋まったら、
組み合わせを行います。
最終的に、標的を狙えるかどうかは、
内部の強み(S)、弱み(W)と
外部の機会(O)、脅威(T)を
組み合わせることができるかどうかです。

組み合わせは、

強みを活かして機会を得る(S→O)または脅威を乗り切る(S→T)
弱みを克服して機会を得る(W→O)または脅威を乗り切る(W→T)


です。下図は先ほどの図表と同じものです。矢印は組み合せる方向です。

強み(S)をどのように活かすのか、
弱み(W)をどのように克服していくのか、
組み合わせてどんどん作っていきます。
が、注意点があります。

●経営理念(創業動機)とちがう内容にならないようにする
●現実にできない文章は作らない


例えば、
経営理念の内容が
「美味しい料理を提供して、お客様の健康に役立つ」なのに
「価格が安い他店(脅威)との競争に打ち勝つため、安く仕入れるルートを活かし(強み)
味や品質よりも安さをアピールした宣伝を行う。」
という文章を作ってしまうと、
「やりたいのはどっちなの?」と疑問に思われてしまいます。

経営理念を手元に置きながら考え、別の紙に箇条書きしていきます。
どれとどれを組み合わせたのか分かるように、カッコでSWOTも書きます。
青い文字は、「どのように」強みを活かすか、弱みを克服するかを意味しています。

SWOT組み合わせ例①

社長の商品開発能力(強み)を活かし、
ヘルシーメニューを提供することで、
健康への関心が高まっているお客様(機会)を取り込んでいきます。

SWOT組み合わせ例②

お店の立地は路地裏なので(弱み)、
看板を付けて存在感をアピールします。
駅周辺の競合店(脅威)に対抗します。

SWOT組み合わせ例③

アンケートによれば、味や安全性を重視する高齢者が増えています(機会)。
この傾向は、私が代表をつとめる(強み)サークルの高齢者会員や、
近隣他サークルの会員にもあてはまります。
他サークルとの合同イベントを企画するなど、交流を広げます。

周辺サークルの高齢者会員を新規客として取り込みます。

SWOT組み合わせ例④

社長の商品開発能力(強み)を活かして
素材にこだわった、高齢者好みのメニューを提供します。
アンケートによれば、味や安全性を重視する高齢者が増えていますし(機会)、
60歳以上の人口は周辺で増えています(機会)。
このお客さんを取り込んでいきます。

1つの事実は1回しか使えないというわけではなく、
何度でも、いろんな組み合わせに使うことができます。
また、事実を全部使う必要もありません。
「強み」を使った組み合わせが多ければ
説得力が増しますので、どんどん出しましょう。
特に、社長の事業経験を元にした強みは積極的に使いましょう。

「SWOT組み合わせ」文章を作った結果、
会社は脅威や弱みを抱えているけど、強みを活かしていけば、
「なんとかやっていけそうだ」と思えたのであれば、

【どこの】最寄駅周辺の
【どんなお客様に】価格よりも品質と味を重視している高齢者のお客様に

という、社長が決めた標的は、
現実離れしたものではないといえます。

事実をひと通り使って、ある程度文章が作れたら、
ほとんど出来上がりです。

では、実際に提出する創業計画書に書き込んでいきましょう。

以下はSWOT分析の補足です。
会社外部の分析に役立つ書籍の紹介と、SWOT分析の限界について説明します。

会社外部をざっくりと理解するための本「業種別審査事典」

SWOT会社外部の分析の切り口のうち、
政治、経済、社会など業界全体にかかわるものについては、
なかなか考えづらいかもしれません。

そこで、これらをざっくり理解するのに使える本を紹介します。
「業種別審査事典」と呼ばれる本で、
様々な業界の分析が行われています。
金融機関担当者も、融資審査にあたって
会社とその業界を簡単に理解するため利用しているとのことです。

業界全体によくある問題(脅威、弱み)や、
売上高や利益の業界平均値までも載っています。
全ての業種が載っているわけではありませんが、
業界の中の会社の状況を理解するための参考情報として、
とても便利ですし、勉強になると思います。

「業種別審査事典」はどこにあるかというと、
普通の本屋には置いてありません。置いてあったとしても、
1冊10,000円以上するのが、全部で11冊あります。
分厚いですし、買うものではありません。

区立図書館や県立図書館など、
大きめの公共図書館に置いてあります。
そこに行って閲覧、コピーするのが良いでしょう。
大きめの図書館でも置いていない場合があるので、
あらかじめ問い合わせたり、
インターネットで検索してから行くことをオススメします。

業種別審査「事典」です。
「辞典」だと検索に引っかからないのでご注意ください。

SWOT分析の限界

これまでSWOT分析を用いてきましたが、
以下のような限界があることも知っておいてください。

SWOT分析は、拾った事実だけからしか判断できない

重要な事実が漏れてしまうと、誤った判断をしてしまうおそれがあります。
極端な例ですけれども、
競争相手となるお店をインターネット検索して、調査に行ったとすると、
検索にひっかからなかったお店は競争相手と認識されません。
その競争相手についての事実はすっぽり抜けてしまいます。

最新の消費者アンケート結果を用いた、といっても
3年前の結果の場合もあります。

現在の消費者の状況と異なっていて、
最新の事実が抜けているかもしれません。

事実をできるだけ多く集めたいところですが、
あらゆる事実を集めることは現実的に不可能です。
必ず漏れている事実があります。

▼考えを整理する方法にすぎない

飲食店を開こうと考えている社長が、SWOT分析をした結果
「クリーニング店を開こう」
といった結論になることはありません。

SWOT分析では、飲食店を開くという
考えが間違っていないかどうか整理できるにすぎません。

「会社外部の分析」で説明したとおり、
SWOT分析は、まず社長の考えである標的を設定し、
それが大きく外れていないか事実で裏付けをしていく流れです。

分析者(社長)の考えの枠をこえて分析することはできません。

「SWOT分析は戦略(会社の方向性を大きく変える判断)には使えない」
といわれるゆえんです。

以上、2点がSWOT分析の限界です。

SWOT分析は多くのコンサルが使っている道具ですが、
あらゆる問題に使える万能のものではありません。

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西田恭隆(nishida  yasutaka)
     ◆公認会計士
         ◆中小企業診断士
             ◆税理士事務所

所長の著書

  「税理士ができる
   『中小企業の資金調達』
          支援実務」

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