決算処理が終わったら、
決算書の下書および「e-Tax」を使った決算書の作成にすすみます。
→決算処理未了の場合はこちら
→ソフトのダウンロードはこちら
以下、決算処理の続き
決算書下書①~⑧の流れにそって説明していきます。
シート名+順番 | 楽しいかもしれない青色申告 | 国税庁「e-Tax」 |
決算処理 | ■実際手元現金の調整 ■売掛金、在庫、買掛金等の入力 | なし |
決算書下書① | 損益計算書の一部入力 ■家事消費等 ■雑収入 | なし |
決算書下書② | 「e-Tax」で計算した 結果のみ入力 | 減価償却費の計算 |
決算書下書③ | 「e-Tax」で計算した 内訳合計のみ入力 | 給与賃金と専従者給与の 内訳入力 |
決算書下書④ | 「e-Tax」で計算した 内訳合計のみ入力 | 利子割引料の 内訳入力 |
決算書下書⑤ | 「e-Tax」で計算した 内訳合計のみ入力 | 税理士・弁護士等の 報酬・料金の内訳入力 |
決算書下書⑥ | 「e-Tax」で計算した 内訳合計のみ入力 | 地代家賃の 内訳入力 |
決算書下書⑦ |
| 貸倒引当金の 内訳入力 |
決算書下書⑧ | 損益計算書、貸借対照表の下書と 総勘定元帳の完成 | なし |
「e-Tax」に転記 | 総勘定元帳や現金経費帳など 会計帳簿データの保存 | 損益計算書、貸借対照表の 下書を転記、青色決算書完成 「e-Tax」データの保存 |
確定申告 | なし | 青色決算書を元に 確定申告書の作成、提出 |
まず、開業1年目の場合を説明し、引き続き2年目以降について説明します。
「決算書下書」シートを開くと、
左の方に損益計算書が2つ並んでいます。
左側は現金預金出納帳から集計しただけのものです。
右側「⑧」は決算処理を反映した損益計算書です。
手順①~⑧まで全部終えたら、
最終的な損益計算書になります。
今の時点ではまだ未完成です。
損益計算書の右側に「月別売上金額及び仕入金額」という表があります。
1月から11月の金額は、現金預金出納帳の金額そのままです。
12月の数字はマイナスになっていて、変ですけれども、
最終的に正しいものになりますので、今はそのままで大丈夫です。
ここでは、色が塗ってある
①「家事消費等」と「雑収入」だけ入力します。
「家事消費」とは、商品を事業用に仕入れたけれども、
事業外の私生活のために使ったというものです。
決算書作成上は、仕入のマイナスではなく、
売上にプラスして調整します。
飲食店で従業員に提供するまかないなど、
商売用に仕入れた食材を自分たちの飲食、生活につかった場合
家事消費となります。家事消費の年間金額をここに入力してください。
「雑収入」は仕入で出た空箱や作業くずなどの
売却代金を入力する科目ですけれども、
現金預金出納帳の「売上」に含まれている場合は入力不要です。
ほとんど使いません。
減価償却費は「e-Tax」を使って計算します。
「e-Tax」ホームページで青色決算書作成画面を開きます。
「減価償却費」の文字をクリックすると、計算用画面が現れますので、
下の赤い枠「新規に減価償却資産を入力する」ボタンを押して
固定資産1つ1つ、計算に必要な事項を入力していきます。
計算には、
「取得価額」=取得するのにかかったお金
を入力する必要があります。
エクセルソフトの「新規取得」ボタンを押せば
今年、固定資産に支払った金額と
決算処理の未払金で計上した固定資産が自動表示されます。
ボタンは必ず押して下さい。
表示された金額を参考にしつつ、
取得価額を入力します(赤い矢印部分)。
→「e-Tax」入力項目について
→敷金保証金
→分割払いの場合
中小企業の場合、
10万円以上30万円未満の固定資産は全額減価償却費にできます。
詳しい処理は次のリンク先をごらんください。
「e-Tax」の計算が終ったら
計算結果のみを1つ1つエクセルソフトに転記します。
色が塗られていないところに入力します。グレーの部分には入力しません。
「種類」も必ず入力してください。
「摘要・名称」欄は入力しなくても大丈夫です。
エクセルには20件まで入力できます。
「e-Tax」の青色決算書作成画面で
以下の赤い枠「給料賃金」と「専従者給与」の文字をクリックします。
それぞれ
「給料賃金」=従業員の氏名や給料、ボーナス(賞与)
「専従者給与」=税務署に届出済の家族氏名、給料やボーナス(賞与)
を入力します。エクセルソフトには入力欄の一番下、
給料、賞与も合わせた最終合計額のみ転記します。
この例では、現金預金出納帳の「給料賃金」年間合計は50万円で、
そのうち一般従業員への支払いは20万円、
家族従業員への支払いは30万円です。
給与を支払う従業員がいない場合は入力不要です。
「e-Tax」の青色決算書作成画面で
「利子割引料」の文字をクリックします。
金融機関以外に対する利息の支払額と
金融機関に対する利息の支払額を入力します。
金融機関以外への利息支払いはゼロになることが多いです。
「必要経費算入額」とは、
支払った額のうち、事業に関係している分のことです。
例えば、年間30万円支払ったけれども、
そのうち事業に関係している分は20万円だけという場合、
「必要経費算入額」には「20万円」と入力します。
事業に関係する分しか経費に落とせません。
利子割引料の場合、
金融機関への支払い分は全額必要経費と認められます。
エクセルソフトには金額のみ転記します。
借金ゼロで利息の支払いが無い場合は入力不要です。
「e-Tax」の青色決算書作成画面で
「税理士等の報酬」の文字の前にあるボタンを押した上で
文字をクリックします。
支払先専門家の氏名住所、支払った額を入力します。
「必要経費算入額」については④参照です。
エクセルソフトには金額のみ転記します。
現金預金出納帳では、
「支払報酬料」の科目で処理しています。
「e-Tax」の青色決算書作成画面で
「地代家賃」の文字をクリックします。
支払先大家さんの氏名住所を書きます。
20万円未満の礼金は「権」のところに含めてしまいます。
「必要経費算入額」については④参照です。
エクセルソフトには金額のみ転記します。
売上代金などが踏み倒されそうな場合、
それに備えてあらかじめ経費に落としておこう、というものです。
踏み倒されるおそれがなければ
特に計算する必要はありません。
読み飛ばして頂いて結構です。
計算する場合は、「e-Tax」の青色決算書作成画面で
「貸倒引当金」の文字をクリックします。
2つありますけれども、どちらでも良いです。
出てくる画面は同じです。
繰り戻しについてはエクセルソフトの金額を「e-Tax」に転記し、
繰り入れについては「e-Tax」の計算結果をエクセルソフトに転記します。
1期目は繰り戻し額ゼロです。
下図では参考例として金額を入れています。
あとは「決算書下書」シートの右の方、
貸借対照表の上にある
「⑧できあがり」ボタンを押します。
損益計算書、貸借対照表に最終的な数字が反映され、
「元帳(総勘定元帳)」シートが現れます。
これで下書は完了となります。
貸借対照表の一番下、
期末残高合計は左右一致しているはずです。
一致していない場合、貸借対照表の下にある
「期末貸借(左右)差額」に数字が表示されます。
「差額調整」ボタンを押すと、
左右差額がゼロになるように自動調整します。
操作の手順は以下のとおりです。
「差額調整」ボタンを押します
↓
「現金出納帳」シートで現金残高がマイナスになっていないことを確認します
マイナス残高になっていたら「マイナス調整」ボタンを押してください
↓
「決算書下書」シートで
もう一度「⑧できあがり」ボタンを押してください
差額がゼロになります。
開業1年目の貸借対照表の場合、
「期首残高」はすべてゼロで問題ありません。
元入金も期首期末共にゼロで問題ありません。
損益計算書と貸借対照表の下書数字が出来上がりました。
損益計算書と貸借対照表の下書数字が出来上がりましたので、
あとは「e-Tax」にそのまま転記するだけです。
エクセルですので、自動取り込み機能などは無いですけれども、
転記は10分もかからないと思います。
▼「e-Tax」損益計算書への転記
「支払手数料」など
エクセルソフトで追加した科目は
「e-Tax」決算書上も追加して入力します。
数字を直接打ち込むよりも、エクセルをコピーし(Ctrキー+C)、
そのまま「e-Tax」画面に貼り付け(Ctrキー+V)した方が良いです。
転記ミスが無くなります。
転記ミスが無いかどうかは、
損益計算書の下の方の項目「青色申告控除前所得」が
エクセルソフトと「e-Tax」で一致していることを確認してください。
確認したら、「e-Tax」で「入力終了」ボタンを押して画面を進め、
貸借対照表の作成に進みます。
▼「e-Tax」貸借対照表への転記
貸借対照表への転記も損益計算書と同じです。
必要に応じて科目を追加し、そのまま転記するだけです。
入力後、左右同額になっていればOKです。
▼「e-Tax」青色決算書データの保存
「e-Tax」で青色決算書を作成した後、最後に印刷用画面が現れます。
そこにある「入力データの保存」ボタンを押すと
決算書内容をデータで保存できます。
減価償却費データなどは、翌年度以降も使いますので便利です。
保存しておきましょう。
▼総勘定元帳の保存
エクセルソフトの「元帳」シートに表示されているのが、
総勘定元帳という会計帳簿です。
紙またはデータで10年間保管するルールです。
金額のない科目についても、項目だけ表示されています。
削除してから印刷すると紙の節約になります。
現金出納帳と一緒に、
現金経費帳も使った場合は、
これも紙またはデータで保管しておきます。
確定申告書は全部「e-Tax」で作成しますので、
「e-Tax」ホームページの説明文を読みながら入力していってください。
税金計算や申告書に関する質問は、
税務署に電話すれば
本家本元、プロ中のプロ税務署職員が
丁寧に教えてくれます。
「e-Tax」入力操作に関する不明点は
「e-Tax」ヘルプデスクに電話して質問しましょう。
質問相談は、遠慮なく税務署にして頂ければと思います。
このため、当事務所では、
確定申告書に関する無料相談は一切受け付けておりません。
確定申告書が出来上がったら、
青色決算書も一緒に紙で打ち出して提出するか、
そのまま「e-Tax」ホームページから
インターネットを使って税務署に送信(電子申告)します。
電子申告以外の郵送等による申告=青色申告特別控除55万円
電子申告=青色申告特別控除65万円
となります。
電子申告の方が控除額が大きくてオトクです。
税務署に足を運んでID(利用者識別番号)をもらい
インターネットで申告できるようにしておきましょう。
以上が開業1年目の流れです。
2年目(20×2年)以降の決算書作成の流れは、1年目とほとんど同じです。
異なる点としては、
決算書下書①~⑧の前に前期繰越処理を行う点だけです。
前期のエクセルデータか決算書を用意します。
前期貸借対照表の「期末残高」を
当期新年度貸借対照表の「期首残高」に転記します。
以下の赤い枠、色付のところです。
「現金」と「その他預金(普通預金)」は
現金預金出納帳の「前期繰越」から自動転記されますので入力不要です。
「未払金(下記計)」も内訳の期首残高を入力してください。自動集計されます。
1年目貸借対照表の「元入金」期末残高はゼロでしたけれども、
2年目期首は数字が自動で入ります。
2年目期首元入金
=1年目「事業主借」残高-1年目「事業主貸」残高+1年目青色申告控除前所得
と計算されています。
1年目の「事業主借」と「事業主貸」は元入金の中に含まれておりますので、
2年目期首には入力不要です。
このため、セルの色をグレーにしております。
1年目と同じです。
計算の流れは1年目と同じです。
ただし、前期以前、1年目に取得した固定資産の減価償却計算は
2年目以降も続きます。耐用年数の終わりまで続きます。
前期決算書の「減価償却費の計算」を手元に置いて再度、
資産1つ1つの取得価額や耐用年数を「e-Tax」に入力するか、
前期に保存した青色決算書データを読み込み、当第2期分を計算してください。
2年目以降に新しく取得した固定資産は、
エクセルソフトの「新規取得」ボタンを押し、
順次、決算時に「e-Tax」に新規追加登録していきます。
1年目と同じです。
以上が決算書作成についての説明です。
「決算書下書② 減価償却費の計算」が少しややこしいかもしれません。
しかし、税務署や「e-Tax」ヘルプデスクに電話すれば、
懇切丁寧なバックアップを得られますので、大丈夫です。
「楽しいかもしれない青色申告」については、Q&Aにも情報がございます。
「うまく動かない」という方もこちらをごらんください。
「こんな機能を追加してほしい」というご意見、ご要望もお待ちしております。
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